介護予防のポイントはふれあい

高齢化社会では、80歳から84歳の高齢者の3人に1人、85歳から89歳の半数が介護を必要とする状態になるといわれています。少しでも元気に長生きできる老後を過ごすために、介護予防という考え方が生まれました。2006年4月には介護保険法が改正され、介護予防という項目も追加されています。

追加された項目の具体的な内容は、65歳以上の高齢者が介護を必要とする状態になることをできるだけ遅らせる事、介護が必要な状態になることを未然に防ぐ事、すでに要介護となった場合その状態が悪化しないように努力し、改善するといったものです。これを受け自治体は高齢者がふれあいを持てるような場を設けたり、身体的な衰えを少しで遅らせるための訓練の場を設けたりと様々な取り組みを始めています。

その取り組みの1つとして認知症の高齢者にもよい効果があらわれたものに、アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」というものがあります。いわゆるロボットセラピーです。このロボットは内部にセンサーやマイクが組み込まれ、様々な刺激に反応するよう作られています。ロボットに名前を付け呼びかけると反応するなど学習能力を持っています。

このアザラシ型ロボットは実際にカナダの東北部に生息するタテゴトアザラシの赤ちゃんをモデルとし、愛着が湧きやすい容姿です。認知症の高齢者が1日約20分パロとふれあうという実験をした結果、50%の患者が症状の改善が見られたり、健常者のレベルまで改善するといった効果がみられました。高齢者にとっては訓練といったものよりも生きがいや社会貢献、ふれあいといったものの方が結果的に介護予防につながると考えられます。